(次男有利) [ 白い海に眠る ] すこしだけ息を吐いて、深い深いこの胸に落ちる、そして落とす。 おれたちが素直に睦言で撫で合うことのできる大切な、必要な時間。 これは綺麗な関係なんかじゃない、小鳥の接吻をして見上げればしあわせそうな、やさしい男と出逢って見惚れて、死にたくなるのは最近のこと。 おれはこの瞬間の彼が嫌いだ。どうして笑えるのおれは苦しくて息もできなくなって目が反らせないのにあんたばっかり、いつもいつも。 「もっと」 もう一度唇で音を立ててちろりとあんたを舐めて、一体なにをそんなに必死になってるんだか。いつの間にか人の髪を梳いて器用に動いていた長い指におれを重ねて確認する、ほら、ここに居る。 幻想に負けてしまうおれを、どうか許して。 (銀時高杉) [ ふるえないで ] 抱き留めたかたまりがぎゅうときつく返してきて、どうしたと問うてみても別に、と、くぐもった小さないらえだけで仕舞いだった。 ふらりと俺の前に現れては噛み付いて引っ掻き回して虚ろに寄り掛かる銀時に、俺は、ただただ奴の気が済むまで躰を貸してやるくらいしかできないのだ。 俺にはお前を救えない、解ってて俺は今日も、銀時の仔犬みてェなしろがねの頭をなでている。 (次男有利) [ さわさわ ] 相変わらず馬での移動は尻が痛い。おれはコンラッドの胸にもたれかかりながら、大人しく体を預けていた。 「心配した?」 「当たり前です。言っていただければこっそり連れ出してあげますから、もうお一人で城下に行かないで下さいね」 「悪かったよー」 「でも、無事で良かった」 本当はこうやってコンラッドが迎えに来てくれるのが嬉しいから抜け出してるだなんて言えないけど、コンラッドのことだ。どうせ全部気付いているんだろう。 風は今日も穏やかだ。
07.02.15
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