[ 錯覚エデン ]





「独りで居てくれ高杉、一緒に居られないのなら」


何処までの本音を云ったらこいつを、俺に縛り付けることが出来るだろうと、熱でいってる頭でうつらうつらと考える。
は、と短く息を吐くのさえもが勿体無くて、さっきから幾度奪ったかすら知れない。
放して、深緑の右眼に溜まったのも舐め取って俺は、耳朶に寄ってそう云った。

びくっと肩が跳ねたのが判った。動かないのは肯定と取って構わないんだろう。都合良い解釈は、俺の特権。

高杉は、最中は決して喋らない。俺の名さえ、呼びやしない。
それなのに、いつの間にか下に居て、こうやって重なり合うことだけをもとめて居なくなりやがる。俺がどんな気持ちでテメェを揺すっているかなんて、おい、ちったァ考えたことあんのか。


(堕ちたって、そこには誰も居やしねェんだぞ)


精一杯、抱き締めて髪を撫でてキスをしてどうしてそのまま、そう云ってやれないのかと思って、それがこいつの芯だからだとわかってる自分に苛立ちと独占欲だけが募る一方で。毎度残される背中の痛みだけが、切羽詰る感情を抑えてくれていた。

繋ぎとめておくことができれば俺は、お前の怒りの矛先になることができるか?
今お前と一緒に居る奴等にはぜってェわからねェんだからよ、高杉、だから。


「俺と居ろよ」






08.01.15
リハビリです…。
この後はどうか、貴女の妄想で補ってやって下さ、い(逃)